村上春樹「僕と鼠」の登場人物一部

◆僕
・1948年12月24日生まれ(風)(73)
・大学では生物学を専攻(風)
・職業は翻訳(73)と広告業(羊)、後にフリーライター(ダンス)
※ガール・フレンドたち
・高校のクラス・メート。17歳(風)
・新宿駅で会ったヒッピーの女の子(風)
・仏文科の女の子(風)
・ヘンデルのレコードをくれたガール・フレンド(73)
・双子の女の子(73)
・会社の事務員の女の子(結婚) (羊)
・誰とでも寝る女の子(羊)
・キキ(羊)
・電話局の女の子(ダンス)
・メイ(ダンス)
・ジューン(ダンス)
・ユミヨシさん(ダンス)
※親族
・父親(風)
僕は父親の靴を磨き続けていた
・兄(風)
1968年にガールフレンドを残したままアメリカに行ってしまった
・三人の叔父(風)
上海で死んだ叔父・旅芸人の叔父・ハートフィールドをくれた叔父(風)
・祖母(風)

◆仏文科の彼女(風)
僕が寝た女の子の中の三人目。
1970年の春(『風の歌を聴け』の4カ月前)に首を吊り、まる二週間発見されなかった(たぶん発見されたのは4月4日)。
60年代に出会い70年代の始まりと共に別れた。
特に70年代のはじまりに亡くなったという点で、直子(「蛍」『ノルウェイの森』)と共通することは注目です。ただ同じシリーズである『1973年のピンボール』に登場する”直子”との関係はわかりません。
『羊を巡る冒険』で言われている「六九年の冬から七○年の夏にかけて(中略)僕は僕でそれとはべつにちょっとした個人的なトラブルを抱え込んでいたのだ」は彼女のことでしょう。
また「何年も昔のバレンタイン・デーに僕のガール・フレンドがプレゼントしてくれたレコードだ」(73)から、ヘンデルのレコードをプレゼントしてくれたガール・フレンドも彼女を指すのかもしれません。

ちょっとだけ調べた限りですと、仏文科の女の子、直子(『ピンボール』)、直子(『ノルウェイ』)、ヘンデルをプレゼントしてくれた女の子、4人はいずれも村上春樹に関係するある人をイメージしていると指摘する論文もあるそうです。

◆直子(73)
1948年生まれ(あるいは49年)。父はそこそこ名前の知れた仏文学者。直子と関連がありそうな上記の女の子も仏文科。たぶん同一人物では・・・と思います。
1973年より以前に亡くなっている。

◆共同経営者(73)(双子)(羊)(ダンス)
72年春から、翻訳を専門とする小さな事務所を僕と共に起業する。妻と二人の子供がいる。 「双子と沈んだ大陸」では渡辺昇。
1978年に僕が去ると事務所を畳んだと先生の秘書から説明がされてますが、『ダンス・ダンス・ダンス』を読む限りですとそういう様子はありません。

◆妻(風)/事務員の女の子(73)/別れた妻(羊)
事務所を立ち上げた頃から雑用・経理などを担当した。1953年生まれ。
『羊をめぐる冒険』p158の僕の台詞で、彼女の最初の結婚を「二十一で結婚して、二十二で離婚したんです」と説明しているのですが、僕と妻の結婚がこの時から4年前(1974年)、そしてこの時に僕の妻は25歳なのでこの台詞と合いません。
また些細なことですが、僕が『風の歌を聴け』を書いている1978年秋の時には既に離婚しているので『風の歌を聴け』後日談と『羊をめぐる冒険』との間でも多少の矛盾があります。

◆双子の女の子(73)(双子)
ある日から僕の家に住み込む。208のトレーナー・シャツと209のトレーナー・シャツを着ている以外に見分ける方法がない。ベトナム戦争を知らない。
208というトレーナーは、彼女たちが1980年2月的な要素を持つからであるという話を授業で聞きました。80年2月は『1973年のピンボール』が発表された月であります。
80年2月⇒802⇒208

◆笠原メイ(双子)(ダンス)
僕の事務所の隣にある歯科医の受付。北海道の酪農農家の出身。1953年8月21日生まれ。山羊のメイ。色がとても黒い。
初期の村上春樹には特に珍しく、「僕と鼠」シリーズの中でも珍しくフルネームがある人物です。
後の『ダンス・ダンス・ダンス』で僕に「昔本当にメイという名前の女の子がいた」と思い出されているシーンがありまして(売春婦のメイと寝た後のシーン)、そしてなにより『ねじまき鳥クロニクル』に同名の人物が登場しています。
「双子と沈んだ大陸」は初出1985年、
『ダンス・ダンス・ダンス』は初出1988年、
『ねじまき鳥クロニクル』は初出1995年。

◆すごい耳を持つ女の子(羊)/キキ(ダンス)
1957年生まれ。
小さな出版社でアルバイトをし、高級なコール・ガール・クラブに所属し、耳のモデルをしている。コール・ガール・クラブは赤坂にあり、白髪のイギリス人女性の英会話講師が経営している。
『ダンス・ダンス・ダンス』でキキという名前で勤めていたコール・ガール・クラブは『羊をめぐる冒険』で所属していた店とは別のようです。

◆羊男(羊)
初出はこの『羊をめぐる冒険』(「群像」8月号、1982)でしょうか。多くの村上作品で登場しています。
150センチくらいの背丈。ずんぐりとした体型。
すっぽりと羊の毛皮を被っている。ただし、フードと手足は作りもの。黒いマスクで顔半分を覆っている。
自分も生まれた十二滝町から遠くない森の中で隠れるように暮らしている。羊男になった理由は戦争に行きたくないから。

◆ユミヨシさん(ダンス)
1960年生まれ。
これまで僕のガールフレンドはすべて50年代の生まれでしたが、ユミヨシさんはシリーズで主要なテーマとされてきた60年代のはじまりに生まれました。
三部作では「70年代において、かつての輝かしい60年代を回顧し、そして決別する」ことが基本的なテーマとなっているそうです。
しかし三部作が終了するとその後の作品においては「80年代に入り、ふたたび60年代的な要素に回帰する」とのことでして、83年を舞台に60年生まれのユミヨシさんと交流をするのはその象徴のひとつなのかもしれません。
彼女のプロフィール、高卒、2年間の専門学校、東京で2年のホテル勤務、ドルフィンホテルに移動、を考えれば60年生まれの設定がかなりギリギリであったことが窺えます。

◆五反田亮一(ダンス)
渡辺昇と笠原メイというシリーズから少し外れたふたりを除けば、彼はこのシリーズで初めてフルネームが明らかにされている人物です。
三部作が「本名があるしそれを知っているにも関わらず敢えて呼ばない」ことが多かったことに対し、五反田君(芸名がある)やユキ(最初は偽名と思われていた)やユミヨシさん(本名が複雑)など、いずれも名前に関して何らかの事情がある3人がそれでもキチンと本名で呼ばれることは『ダンス・ダンス・ダンス』の特徴なのかもしれません。

◆ユキ(ダンス)
13歳の美少女。1970年生まれ。つまり60年生まれのユミヨシさんとは対称的にシリーズにおいて重要だった60年代の要素を持たない人物と言え、また70年と言えば『風の歌を聴け』の作中の年でもあります。鼠とビール瓶を散らかしていたまさにその時に産まれた少女と僕はデートをしている訳ですね。
また70年生となりますと、『風の歌を聴け』の小指のない女の子が産めなかった子供と同い年ということになりますが、さすがにこれは無関係でしょうか。

 


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